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私と蝶

不求甚解

テンプル・オブ・サイキック・ユース、ザ・ヘイターズとか

ずっとT.O.P.Y、テンプル・オブ・サイキック・ユースが気になっている。まったく詳しくないし、信者になるとかそういう気もないのだけれど、アート・プロジェクトもしくはポップ(アングラ?)・カルチャーの一環としての宗教、アーティストの自己主張の方法としての宗教、そうしたものの持つ精神性に興味がある。ノイズ・インダストリアルのミュージシャンが悪魔信仰・ファシズムといった「忌むべき信仰」に傾倒していく、その志向はどこから来るのか?

 

テンプル・オブ・サイキック・ユース T.O.P.Yとは、インダストリアル・ミュージックの文字通り「生みの親」であるスロッビング・グリッスル(Throbbing Gristle、日本語で「脈打つ軟骨(男根の隠語)」)のリーダーとして名声を挙げたジェネシス・ブレイヤー・P・オリッジGenesis Brayer P-Orridgeが作り出した疑似宗教団体。下の映像はTOPYのスポークスマンの演説。ジェネシスではない。

TGの解散後に彼が結成したサイキックTV Psychic TV は、その宗教団体の音楽部門という位置づけで活動を開始し、彼らの二枚組ファーストアルバム Force thee hand of chanceはうち一枚が教団の儀礼用音楽として作成された。僕の手元にあるのは、CDとしてTempus Recordsから発売された当アルバムのリマスター版Force thee hand of chants(なぜchanceではなくchants?)。これも2枚組だが、本来儀礼用音楽が入るはずの2枚目はライブ盤だし、さらに1枚目も元のアルバムには入ってない曲がいっぱい入ってるし、そもそもレコード会社もファーストイシューのSome Bizarreと違う会社だし、まあいろいろと権利を巡るいざこざがあったことが伺えますな。もともとの収録に新たに加えられたいくつかの曲は、新しく録音されたものもあるっぽい。日本で現在発売されてるForce the~ chanceのCD版も、Force the~ chantsの1枚目と同じ曲構成のようだ。しかしこっちのバージョンでも、かつて二枚目に収録された儀礼用音楽 Themesは、聞くことができない。しかしもちろん天下のYoutubeでは、聞くことができる。そもそもファーストイシューのうちでも初版500枚にしかThemesは収録されていなかったらしいですよ。

 画像はTOPYのマーク。サイキック・クロスを額に冠した頭骨を中心に、右下には不吉な数字、悪魔の数字とされる23(ジェネシスは個人的にウィリアム・バロウズと親しい関係にあり、バロウズは23という数の持つ悪魔性に固執していたので、おそらくその影響)、左下にはEのアルファベット(意味不詳。EvilのE?)。もうここから怪しい匂いがプンプンするわけですけど、聞いてみると音楽はものすごくいいですね。一曲目のピアノは、なんとなく背徳感のある美しさ。二曲目のTibetan Human Thigh Bonesは、チベット仏教の儀式で使われる、人間の太ももの骨から作ったトランペットで演奏されていて、これが何となく死の匂いを醸し出して最高。それ以降の楽曲も、密教的世界観も維持しつつ、なんとなく近寄りがたい崇高な美を体現しており、たまんねえー。

で、公式サイト。

TOPY: Thee Temple ov Psychick Youth

あと、教義をまとめた個人サイト。

T.O.P.Y. Manifesto

読めばわかるけど、「多元的自己の開放」とか「真の欲求の追求」とか、普通の自己啓発セミナーみたいなことを言いつつ、ところどころに悪魔信仰的な要素を含んでいる。しかも入会には、自分の髪の毛と体液を送らなきゃいけない(今はプロジェクト自体終了しているので、信者が運営するメーリングリストが残っているくらい、もしかしたらその他にも信者になればなんかあるのかも)とかだったらしく、ほとんどオカルトの領域。

TOPYは信者宛ての通信Transmissionと題して映像を作り、イギリスのケーブルテレビで深夜帯に流してたんだけど、その実質はほとんどただのSMスナッフフィルムで、教祖のジェネシスはそのせいでイギリス政府に目をつけられ、アメリカに9か月間くらい追放されたらしいです。ちなみにこれもYoutubeで見れます。すごいなー最近は。

 やっぱりただのSMビデオですね。でも彼らにとってはこれをTVで流すということ自体に意味があったのかも。さっきのシンボルマークや演説の映像にあったサイキック・クロスだって、三位一体といった概念のほかにテレビのアンテナを想起させるものとして作成されているし、サイキックTVという名前も、マス・メディアによって構築されたバーチャルな世界から真理を取り戻す、つまりTVに対抗する意味でのTVというところから来ているし(その意味では平沢進も亜種音TVをやってますね)。

ジェネシスに関しては、豊胸をはじめとする全身整形を行って、恋人レディ・ジェイLady Jayeと身体的に同一化し、フィジカル・オーガズムを追求しよう、というパンドロジェニー pandrogenyというプロジェクトも行ってますが、それに関してはまた。(レディ・ジェイはプロジェクト半ばで死去。ジェネシスはそれ以降も体は女のままで、英語版の彼の代名詞はheでもsheでもなくs/heとなっている。)

 

あと、ザ・ヘイターズthe hatersかっこいい。今度のヴロツワフ来ないかな。

 ノイズの洪水の中、レコードに手動パンチで穴をあけて客席に投げるだけというパフォーマンス。

日本だと、こういう覆面インダストリアル・スカムってWUUUNとかになるんだろうけど(もちろんメタルジャンクなら山塚アイがいる)、どうしても黒子感、雑魚キャラ感が出ませんか。

あ、これはこれで…